(東京・大徳寺にて)
ホテルに荷物を置いて、私たちは電車を乗り継いで世田谷区に行きました。
夫のリクエストで、大徳寺と世田谷八幡宮を参拝しました。
大徳寺へ行くのに、私たちは小田急線の電車に乗り替え、さらに世田谷線の電車にも乗りました。
実は私は、以前、若い頃に、少しだけ東京に居たときがありました。
その時、ちょうど小田急線の界隈に住んでいて、小田急線はもちろん、世田谷線の電車にもよく乗りました。
昔は、こんなに良い電車じゃなかったけど、今は最新型になっていました。
車内放送の駅名を聞き、「ああ~懐かしい・・・」と思いながら、豪徳寺へ向かいます。
ここは、彦根藩井伊家の菩提寺で、幕末の大老・井伊直助のお墓があります。
そして彦根といえば・・・ひこにゃん。
ひこにゃんは、井伊家で飼われていた猫がモデルなのですよ~。
だから、境内も猫で一杯~。
たくさんの招き猫~。
この数に圧倒されますが、可愛い顔をしている猫ちゃんなので、怖くはありません(笑)。
寺務所の中の棚。ひこにゃんがいました
寺務所の方にお聞きすると、ひこにゃんが豪徳寺に参拝したそうです。
井伊家の縁の猫・・・ということで、彦根から遥々訪れたのだとか・・・。
その時の新聞記事が、掲示されていました。
「このお寺の境内にはモミジがたくさん植えられていて、紅葉がとても美しいですよ~。是非、秋にいらしてくださいね~」と、寺務所にいらした品のある奥様が教えてくださいました。
確かに、手入れの行き届いた立派なお庭に、モミジの木々がたくさん植えられています。今は青々と瑞々しく茂っていますが、秋には、きっと品よく可憐に紅葉するのでしょうね・・・。
次に、豪徳寺のすく゜ちかくにある世田谷八幡宮へ向かいました。
住宅街の真ん中に、ポンと緑の深い神社が見えてきました。
ここが世田谷八幡宮です。
ここの境内にはお相撲の土俵がありました。
ここで時々、奉納相撲が行われるようです。
石段を上がると、八幡様の境内で、鳶の恰好をした職人さんたちが、茅の輪の準備をされていました。
ああ~、もうすぐ茅の輪くぐりの日なんだなぁ~と思い出しました。
だけど、さすが江戸だわ~、職人さん達、足元は地下足袋でビシッと決めて、とてもカッコいい~。
実は、昨年、某スピリチュアルカウンセラーの方から、夫は源氏と縁のある魂の人だと教えてもらい、八幡様詣でを勧められていました。
それで、久しぶりの遠出で、夫は、東京にある八幡様を参拝したのです。
この世田谷八幡宮は、古い歴史のある神社でした。
そして、東国武士の源氏方にも縁の深い神社でした。
また一つ、思いが叶って、夫は嬉しそうでした・・・。
この日は、雨の予報で、お寺や神社を巡っているときも、降ったりやんだり・・・と不安定なお天気でした。
そして、とても蒸し暑い。
梅雨特有のムシムシした雨の一日でした。
ホテルに戻り、チェックインをして、少し休んでから、夕食を食べに行きました。
ちょっと歩いて、ホテル近くのイタリアンレストランへ・・・。
いつもは「おひとり様」の旅なのですが、今回は夫がいてくれるお蔭で、気兼ねなく、お店に入れます(笑)。
(一人だと入りにくい雰囲気のお店もあるので、いろいろと気を使うのですよ~)
その後、新宿の花園神社へ、アンダーグラウンドなテント劇を見に行きました。
この時、雨は更にザーザー降りとなり、会場へ行くまでが本当に大変でしたが、なんとか遅刻することなく、ちゃんと辿り着けました。
久しぶりの観劇。とても素晴らしかったです。
芸術の世界の奥の深さを痛感しました。
この世界にドップリ浸かって情熱的に逞しく生きている人々と比べたら、私たちは、なんと中途半端に生きているのだろう・・・と、自分自身のことを心の底から反省しました。
今の私って、つま先をちょこっと水につけだ程度のことで、「やった」気分になっているけど、そんなの「やった」うちには入らない。やるなら、全身、ずぶ濡れになって、水も泥も被る覚悟で飛び込まないと、本当に「やった」ことにはならないのだ・・・。私って、なんて中途半端だったんだろう・・・と。
本当に、頭から水をざぶっと掛けられたような・・・そんな気分になったのです。
そして、私の横の席に居た夫も、私と全く同じことを感じていたようでした。
劇自体も、海峡に見立てた水を役者さんが全身かぶりまくりのお芝居でしたが、私も飛び込ませていただきたいっ!と思いました。本当に、根底から覆されました。
お芝居もアングラなので、日本社会の陰部を描いたものでしたが、自分たちの力ではどうしようもない世界のなかで、自分を見失わず、見えないものを相手に闘い、必死に生き抜く・・・そんな人間の逞しさと底力をビンビンと感じました。
バーチャルな世界が先走っている今の時代に、画像や動画ではなく、生で役者さんが目の前で織りなしていく世界を見せてもらうのって、とても良いモノだと感じました。
生きている人間の体温や息づかいを生で感じて、生きている人間が醸し出すエネルギーも強く感じて、観客と舞台とが一体となって同じ時間を共有していく・・・。衣装やセットや照明が織りなす不思議な色の世界。そして音響、セリフを語る役者さんたちの味のある声、劇中歌・・・。生々しくて迫力ある世界を味わい、でも、心地よくて深い夢を見ているような・・・そんな気持ちになりました。
劇のあと、夫は、知り合いの役者さんたちと話をして、私もそこに混ぜてもらって、楽しいひと時を過ごしました。
クリエイティブな人たちのエネルギーは素晴らしい・・・と思いました。
たくさんお酒を飲みましたが、情熱的にクリエイティブに生きている人々と一緒に飲むと、全然悪酔いしないことを体験しました(笑)。
純真なだけでは通用しない厳しい世界です。人間の業やエゴも渦巻いている独特の世界だと思いますが、でも、その中で切磋琢磨して自分を磨き、よりよい表現を求めて「高み」を目指している人々は、愚痴なんて一切出てきません。とても明るくてサッパリしていて、強くて逞しくて、ハッキリしていて、目標が明確でしっかり立てていて、努力も厭わず、なにより「等身大の自分自身を良く知っている」・・・と思いました。
それが、とても心地よくて、気持ちが良い・・・と感じました。
とても楽しい夜でした・・・。